“April Fool”ではありません-大津波復興住宅私案2011/04/01 18:54


大津波復興住宅案

鉄筋コンクリート造5階建ての集合住宅です。
屋上まで階段とスロープで外からも避難でき、屋上には集会室と備蓄倉庫があります。
とりあえず小さな外観画像のみの私案ですが、月が変わり復興に向けての一歩として公開します。


東日本大震災復興住宅私案04032011/04/03 16:10


鉄筋コンクリート造5階建ての集合住宅です。

復興住宅私案110403

津波襲来時の避難場所となる屋上です。
向かって右側には普段使う集会室があり、避難所にもなります。その左側は備蓄倉庫で壁に東日本大震災津波被災時の写真が陶板印刷されてあります。


復興住宅私案110403a

屋上は普段住民ができるだけ使いたくなるように設えています。
日よけ、いす、テーブル、流し場等を設け、日頃の気晴らしやバーベキュー等のイベントにも使いやすくし、使われなくなって鍵がかけられるようなことがないようにします。

東日本大震災復興住宅私案04042011/04/04 22:16


鉄筋コンクリート造5階建ての集合住宅です。

復興住宅私案0404

屋上まで避難できるスロープです。
建築基準法で要求される2以上の直通階段の一方をスロープにしたもので、近隣の住民やたまたま近くを通りかかった人も避難できます。車椅子で自走するには少し勾配がきついですが介添え者がいれば避難可能ですし、電動車椅子なら登攀も可能です。


復興住宅私案0404a

平時に主に利用することになるエレベーターと階段です。
こちらの階段も外からいつでも避難できるように、マンションでよく見かけるオートロック付きのエントランスのようなものはありません。階段の向かって左側にある塔状の部分がエレベーターシャフトです。

東日本大震災復興住宅私案04052011/04/05 22:57


鉄筋コンクリート造5階建ての集合住宅です。

復興住宅私案0405

住戸前廊下の部分です。向かって右端のドアが玄関です。
災害の避難時に重要なことは、ハードのみならず住民同士助け合うことができるかどうかということです。日頃の住民同士の交流とともに、お互いの生活をある程度知り合えることが大切です。最近は孤独死が問題になっていますが、マンションや公営住宅などの多くがそうであるように玄関ドアだけが並ぶ北側の寒々とした廊下ではなく、主要な部屋と開口部を廊下側に配置しています。視線はブラインド等で調節できますし、防犯上は廊下に常に住民の目があるため安全性が高いと言えます。大きな窓には縁側があり、上がりこまなくても気軽に井戸端会議もできます。

東日本大震災復興住宅私案04062011/04/06 22:19


鉄筋コンクリート造5階建ての集合住宅です。

復興住宅0406

住戸内部です。
地震や津波に対して現時点で考え得る安全性を追求したつもりですが、結果として、バリアフリーがユニバーサルデザインへと進化するように、災害に対して安全な住宅が、可変性を獲得し地域社会の中で家族の構成や要求が変わっても安心してずっと住み続けられる家に近づいたように思えますがいかがでしょうか。

東日本大震災復興住宅私案04072011/04/07 22:33


戸建住宅2階建て、平屋建てでも大津波から助かるかもしれない。
 
今日風呂に入っていて思いついた。
鉄筋コンクリートで造れば少なくとも躯体は壊れない確率が高い。ならば建物が何メートルの水底に沈んでしまっても、隙のないロフト状の空間があればそこに空気が残る。海水が引くまでその隙間にいれば助かるのではないか。
これならひと部屋だけでも少し高めの天井にして一部床を造ればいいだけだ。何ならひと部屋だけ鉄筋コンクリート造で造り、その部屋が普通の天井高でも4~50センチメートルの空間ができるから、1人畳半帖分ほどの広さの床とはしごがあれば最低限の避難はできる。
「近い将来確実に起こると予想されている、東海・東南海・南海地震津波」(河田惠昭『津波災害―減災社会を築く』岩波新書)の来襲が想定される地域の既存住宅も、庭にひと部屋増築すれば安全性がぐっと増しそうだ。
津波はどれくらいの時間で引くのか、そのために1人当たり何立方メートルの空間が確保できればいいのか、押し寄せる水の力に確実に耐える構造方法があるのか等様々な専門家の意見が聞きたい。
 
防空壕ならぬ防水天

復興住宅私案110407

一気に春2011/04/10 00:26


一気に春が来た
コブシにサクラ ケヤキまで
自分でつくった原発に 右往左往の人間尻目に
 
コブシとサクラ

ケヤキ



東日本大震災から1ヶ月たって2011/04/11 19:34

震災から今日で1ヶ月、夕方にはM7最大震度6弱の余震がありました。
地震と言えば建物の耐震化、仕事柄まずこれだと思っていたのが、揺れではなく津波で2.8万人近い人の生命が失われ(4月10日警察庁)、それとは別に原発の放射能汚染で今後さらに被害が拡大する恐れも否定できない緊迫した情勢が続いています。今更ながら自分の無知蒙昧さを反省せざるを得ません。もうちょっと意識を持って生きていれば津波の怖さも原発の危険性もいくらでも気づく機会はあったはずでした。
そんな反省もあって建築士の端くれとして、震災直後から津波に対する同じ過ちを繰り返さないためにどうすべきか考えたことをこのブログでも書いてきたのですが、やはり気になる動きも見られます。
震災後早々と住宅金融支援機構が災害復興住宅融資の募集を始めたそうです。そしてなかには「○○の家 東日本大震災 復興支援プロジェクト」と銘打って今までと同じような普通の木造住宅の宣伝をしている住宅会社もあります。また北海道は被災地で今後、必要となる復旧用の木材確保対策のための連絡会議を開き、道内の林業関係者、木材業者などに協力を呼びかけることを確認したそうです。
被災者や被災状況によっては早々に復旧をする動きもあるかもしれません。しかし何度も繰り返しますが、同じような住宅を建てれば数十年後に同じ悲劇を繰り返します。なんとしてもそのような愚かなことは止めなければなりません。
しがない一建築士、せめてもと思いこのブログでその時々で提案もしそれほど間違ってはいなかったと自分では思っているのですが・・・無力感が募るばかり、的外れだったでしょうか。著名な建築家の中には仮設住宅の配置などの提案をしている人もいるようでそれはそれで意味もあるのでしょうが、もう二度と何万人もの人が死ななくても済むような都市や町や村を復興するために、早急に考え議論し、必要なら行政に働きかけるなど、今しておかなければならないことがあると思うのですが・・・。



柳に風の防水天2011/04/15 19:46

震災復興でまずはじめに直面する大問題が、今まで住んでいた場所にまた住むことができるかどうかということです。高台に移住するとか津波より高い人工地盤やより大きな堤防を築く、高層住宅にするなどの案もあるようですが、職住一体の小さな漁村などでは必ずしもそれらが妥当とは思えません。
平屋でも2階建てでも鉄筋コンクリート造にしてちょっとした工夫をすれば、住み慣れた場所で今までと同じような住宅でも命を守ることができます。最低限一部屋でも良いから鉄筋コンクリート造の天井が少し高めの部屋を設け、そこに人が座っていられるだけの防空壕ならぬ防水天のロフトを造っておきます。家全体が水没しても、たとえば天井高3mであれば窓やドアから水が入ってきても天井に1mほどの空気だまりができます。この部分に床とそこに上るための丈夫なはしごやタラップがあれば水が引くまで濡れることもなく退避していられます。写真やアルバムなど大切なものを置いておけばそれらも無傷で残ります。
近地津波の周期は長くても20分程度なので、躯体さえ壊れなければ十分安全は保たれます。一般的に木造に比べて鉄筋コンクリート造は3~5割くらい工事費は割高になりますが、木造で一部を鉄筋コンクリート造にすればもっと安くすることもできます。津波に流されても躯体は残るので再建もしやすいし、新たに山を削って宅地造成をしたり巨大な人工建造物を造るより国土や自然を痛めつけず費用もかかりません。
“未曾有の大災害”とか“千年に一度の大津波”などといった言葉に踊らされて判断を誤らないようにして、“柳に風”ぐらいの感覚で自然とうまく付き合いながら伝統や文化を継承していける国づくりが一番だと思います。高所への避難を第一とし、万一それができなくても最低限生命だけは守る、そんな自然に対する謙虚さも大切ではないでしょうか。今回は東北の太平洋沿岸の広範な地域が被災しましたが、津波常襲地帯は北海道から四国にまでわたるのです。力ずくで自然と闘おうとしても景観を壊した上、また敗北します。
防水天110416

津波被災地の戸建て住宅復興について2011/04/18 16:13

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東日本大震災津波被災地自治体首長殿
 
東京在住の一級建築士です。
震災復興にあたり建築制限をするしないが問題になっています。復興案についても、高地への移転、高層住宅に制限する、人工地盤や今まで以上の防潮堤の築造等の案もあるようで、具体的には今後政府の東日本大震災復興構想会議で策定されるものと思います。
いずれにしても今までと同様に上からの一方的な押し付けで、住民の希望や要望にどこまで真剣に向き合っているのか疑問です。報道等からも、地域コミュニティが立派に存在し海とともに生きてきた住民の中には、できることなら今まで通り同じ場所で同じ人々と同じ仕事を続けたいと思っている人が少なくないのではないかと想像されます。しかしながら誰もが津波被害の現状から、復興に当たってそのようなことは到底できないという前提に立っていないでしょうか。
私案ですが、住宅の建て方をほんの少し工夫すれば、平屋建てや2階建ての戸建て住宅でも津波から少なくとも生命は守れる方法を提案したいと思います。家全体が無理なら一部でも一部屋でも鉄筋コンクリート造にして、天井を高めにとりロフトを造り、津波で家全体が水没してもそこに空気だまりができるようにします。近地津波の周期は20分程度なので万一高所への避難ができなくなっても、このロフトに退避すれば助かることができます。
(参照 http://tsuchiya-hiroshi.asablo.jp/blog/cat/higashinihondais/
これはひとつの試案で、心理的な抵抗があったり構造的な検討なども要しますが、このような方法もありうるということを住民に提示(私は住民に直接伝える手段がないので代わって自治体首長にお伝えしています)した上で、住み慣れた場所に住み続けるのか、高台へ移住するのか、または他の選択をするのかという極めて重い選択を住民自らできるようにすることは、まさに今果たすべき行政の責務ではないかと考えます。
 
2011年4月18日 土屋 裕
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今日、岩手県、宮城県と両県の10前後の市町村のホームページ上のメールフォームに書き込み、または記載されていたメールアドレスに送った文面です。