中間検査2014/10/16 22:19

今日、設計監理している工事中の木造2階建て住宅の横浜市による中間検査がありました。延べ面積が50m²未満なので中間検査を受ける必要はないのですが、任意の自主検査を無料で受けられるということで、後の完了検査がスムーズにいくということもあって中間検査を受けることにしました。
建築確認の現場検査は確認申請書を元に検査をしますが、いわゆる4号建築物と言われる小規模な木造建築では中間検査時に最重要検査項目となる耐力壁や補強金物の位置及び種類は確認申請書に含まれていません。今回は準耐火構造にしたため耐力壁に関しては計算書や図面を添付していましたが、補強金物に関しては確認申請時に何も添付していません。検査時にそれらの計算書等を求められると思い資料を用意していましたが、検査に来た市職員はあらかじめ自身で計算した結果を持っていて、現場で設計時と異なった部分があるとその場で計算しなおし問題ないと判断するなど、検査前の準備や現場で細かく検査したことと的確な対応に感心させられました。
今回の現場は工務店や棟梁がしっかりしていることもあって問題点は何もありませんでしたが、これくらいの検査体制が機能すればたとえ怪しい業者による工事であってもかつて少なからずあったような構造的に問題のある危険な住宅はできなくなるだろうと思えました。

日中韓 棟梁の技と心2014/10/20 23:27

今日、『日中韓 棟梁の技と心』展(ギャラリークワッド)を見てきました。
日中韓それぞれを代表する棟梁の仕事の紹介とそれぞれの模型が展示されていました。日本の伝統建築の源流は言うまでもなく中国と経由してきた朝鮮の木造建築です。瓦屋根を組物が支える意匠は一見したところ良く似ていますが、フランスとドイツとイギリスのゴシック建築がそれぞれ特徴を持って異なるようにやはり違っています。
中国の紫禁城太和殿組物模型、韓国の救仁寺大祖師殿組物模型と見て来て、最後に見た小川三夫棟梁がつくった薬師寺東院堂模型のなんと美しいこと。薬師寺東院堂が持つ構造とデザインの美しさに加えて、選び抜かれた材料と丁寧に丁寧につくられた模型は眺めていて飽きません。最近人や組織やものなどの上っ面ばかりのグローバル化が叫ばれますが、真のグローバル価値とはこういうものではないでしょうか。

この展覧会場のあるゼネコン社屋らしくないソフトなイメージの竹中工務店東京本店社屋

竹中工務店東京本店

「道徳」より「宗教学」2014/10/21 22:09

きょうのニュースで、中教審が道徳を「特別の教科」として検定教科書を導入することなどを文部科学大臣に答申したとありました。
道徳の授業って受けた記憶がなく、また学校の授業として受けたくもないと個人的には思います。道徳観なんていうものは人から教えられるものではなく、自分自身で考え身に付けるものだと思います。
私は道徳などという教科よりももっと必要な教科は宗教に関する教科ではないかと思います。もちろん特定の宗派の教義を学ぶということではなく、人文科学としての宗教学をたとえ広く浅くでも学ぶということです。広く世界のことを理解するのに最低でも三大宗教がどのようなものなのか知ることは必須ですし、それらを学ぶことによって上から教え込まれるのではなく自発的に道徳観や倫理観を育てるきっかけにもなります。複数の宗教を知れば人間の多様性と普遍性を知ることもできます。ひいては身近な人や自然から世界人類にまで思いを致せるようになるのではないでしょうか。