大阪ビル放火事件 建築の疑問2022/01/19 20:33

2021年12月17日に起きた大阪ビル放火事件で報道ではどうもわからないことがあります。
建築基準法上は「既存不適格」で違法ではなかったとか消防設備で不備はなかったなど、建物には少なくとも法律上の問題はなかったということのようですが本当でしょうか。
報道されている建物の構造を見ると窓は道路側にしかなく奥の部屋はすべて窓なしのようです。いくら古いビルでも排煙のための窓は建築基準法上必要だったはずです。
新築時は一部屋の事務室等だったとすれば道路側の窓でこの階の居室全体の排煙窓として必要な排煙面積を確保していたのかもしれません。後に用途を変更してクリニックとして部屋を間仕切ったのだとすれば、その工事が違法だったとも考えられます。
また既存の排煙窓を内装工事で内側から壁で塞いでしまっていたということも考えられなくはありません。このようなことは店舗などの内装工事でままあることですが、安全上非常に重大な問題です。
ビルの所有者やテナントなどは割と消防署の検査は受けていることが多いようですが、排煙窓だとか非常用照明など消防法ではなく建築基準法関連の防災設備は検査や査察の対象になっていません。現行の消防の検査だけでは不十分なのです。
今回の放火事件でも、多くの犠牲者が出た奥の部屋にもし煙を排出できる窓が確保されていれば、助かった命もあったかもしれません。

大阪ビル放火事件
ビル4階の図(読売新聞 2022年1月18日 より)