設計の資格の不思議2011/11/25 14:54

建築士法では規模や構造によって建築士でなければ建築の設計はできないことになっています。実際の設計は一般的な建築では意匠(古めかしい言葉ですが大雑把に言うとプランやデザインを決めることで単に建築という言葉もよく使われます)、構造、設備をそれぞれ専門の建築士が設計します。構造はもちろん設備も建築の一部であり建築士ではないと設計できないことになっているのですが、現実には無資格や無登録で設計している設備設計者が多くいます。
建築士資格は建築学科など建築系出身者でないと受験資格や試験内容から取りにくいにもかかわらず、設備は機械や電気の出身者も多く、専門分野の特性からもそこにはそれなりの必然性があります。建築士とは別に建築設備士という資格もありますが法律上は建築士ではない建築設備士は建築設備の設計はできないことになっているのです。実際には建築設備士が設備の設計をしていても法律上は意匠担当等の建築士が設計したことになり、建築確認申請書には「建築設備の設計に関し意見を聴いた者」という欄があってここに建築設備士の氏名を記入することになっています。設備設計にミスがあったら意匠設計者が責任を問われることはあっても設備設計者はまったく責任を問われないということなんでしょうかやっぱり。建築設備は建築士でなくともたとえば建築設備士が設計できるということにすればいいのにと思います。「意見を聴いた者」っていったい何なんでしょうかね。
資格といえば以前インテリアプランナーという資格を持っていました。この資格ができた最初の頃一級建築士は講習を受ければ取れたので、簡単に取れるものならと取っておいたのですが、何のメリットもなく数年毎に更新をしなければならず時間もお金もかかるので何年か前に更新をやめてしまいました。必ずしも建築確認申請の必要のないインテリア設計は誰でも設計できますが、このような設計資格にインテリアプランナーを当てればいいようなもののそのようなこともありません。店舗の内改装など当然のように窓をふさいで、火災時に煙を外に出すための排煙窓を使えなくしてしまうようなことも現実には多く行われていて、実際に雑居ビル等の火災で犠牲者が出ています。インテリアプランナーのような資格者による設計監理を義務付ければこんな無法状態も減らせるのではないかと思いますが、建築設備士にしろインテリアプランナーにしろ何のために資格を作って維持しているのでしょうか・・・お役所と財団法人のため?