寅次郎ハイビスカスの花と沖縄米軍基地2015/07/04 23:17

今日テレビで好きな映画寅さんの『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(BSジャパン)を見て気の付いたことひとつ。
大筋の内容はいまさらなので置いといて、寅次郎がすったもんだの末ようやく沖縄に着いて空港から乗ったバスからの最初の沖縄の風景が米軍基地、空には戦闘機、そして飛行機の轟音は他の場面でもうるさく聞こえてました。
今まさに沖縄の米軍基地が大きな問題になっていますが、35年前につくられた映画で山田洋次監督はきちんとこのことも見ていたことにあらためて敬服。

浅草 新旧建築2015/07/07 21:50

今日浅草で電車を乗り換えついでに、ちょっと寄り道してきました。

神谷バー(清水組設計・施工 1921年)

神谷バー


東武浅草ビル(久野節設計 1931年)

東武浅草ビル


浅草文化観光センター(隈研吾設計 2012年)
公開コンペで選ばれた案で、コンペ案を見たときは学生の提出課題のようなストレートな提案で、理屈はともかく実際にできたらどうなのかと正直疑問に思っていましたが、実際に見ると想像していたより良いと思いました。

浅草文化観光センター



浅草文化観光センター内部

新国立競技場とシドニー・オペラハウス2015/07/09 22:17

新国立競技場をめぐるゴタゴタ、当初は神宮外苑に巨大すぎると主に環境面からの批判が建築家槇文彦氏らから上がり、最近はもっぱら工事費の大幅アップに対する批判に移ってきたようです。
オーストラリアの象徴であり、最も新しい建造物の世界遺産でもあるシドニー・オペラハウス、その前例のない建築の難しさから4年の工期予定が14年に、700万ドルの当初予算が14倍の1億200万ドルになったそうです。(ウィキペディア、シドニー・オペラハウスの項目)
しかし14倍のお金なんか吹っ飛ぶ計り知れない経済効果がオーストラリアにあって、今後もあり続けるでしょう、なんてわざわざ言うまでもないことでしたね。
シドニー・オペラハウスと並んで20世紀建築の最高傑作のひとつ、前回東京オリンピック施設の国立代々木競技場も予算オーバー、そのとき設計者の丹下健三が時の大蔵大臣田中角栄に掛け合ってあの大胆な新しい構造の体育館ができたというのは有名な話です。丹下健三が偶然を装って新幹線で移動中の田中角栄に近づいたというようなことを何かの本で読んだ記憶もあります・・・。
凡百の建築でよければ、多くのジャーナリズムや政治家等々による計画がずさんといったような批判に従うのも仕方のないことでしょう。ザハ・ハディッドによる当初案のミヤマクワガタがコガネムシになった修正案がシドニー・オペラハウスや国立代々木競技場並みとは個人的には思いませんが、でもまだ凡百ではありません。
こういうことって残念ながらわからない人にはわからなくて、またそのわからない人は表面的で底の浅い一見もっともらしい論理のみで自分の意見を押し通そうとします。さて2020年東京オリンピックはどんな舞台で幕を開けることになるのでしょうか。

新国立競技場本当の無駄使いは?2015/07/18 15:50

昨日安倍首相が新国立競技場の計画を白紙撤回すると表明しました。理由はただ一つ、工事費が予定を大幅に上回ったことによる世論の批判を受けたため。世論を気にするのはいいとして、世論の批判の原因が1千億円かそこらのお金というのが、あえて言いますがいかにも情けない。
観客数とか、屋根の有無とかそもそもの計画の内容の妥当性を問題にしての批判ならわかります。しかしこれはコンペ時にわかっていたことであり、修正するとすればその時に修正すべきことでした。それが一旦決まった案の規模等を変更するものだから、当初案に比べるとかなり残念な計画になってしまっていたことは致し方のない現実です。その辺をもうちょっと何とかしようよ、というような意味合いでの前向きの見直しなら賛成です。でも世論は1千億円がどうにも許せなかったようで、今更の白紙撤回に追い込まれました。悲願だったはずの半世紀ぶりのオリンピックのメインスタジアム建設に、GDP世界第3位の国が出せない金額だったでしょうか。
お金は大事です。私も無駄使いは嫌いですし、またそんな余裕もありません。しかし使うべき時に使わないと更なる無駄使いをしてしまうことになりかねません。「できる限りコストを抑制し、現実的にベストな案をつくっていく」(安倍首相)「安ければ安い方がいいと思う」(菅官房長官)という言葉から、このままいくとどこにでもあるような凡百のスタジアムができる最悪のシナリオも想像できてしまいます。
50年後「あの古くなったつまらない何のとりえもない2020オリンピック競技場さっさと壊して建てなおそうよ。ちなみに国宝代々木競技場や重要文化財日本武道館はその前1964年のオリンピックの施設だってさ。2020年ごろの日本って衰退してたんだね。」なんて会話が交わされているかもしれません。それにしても世の中公共施設でも民間施設でも造っては壊しする無駄な建築のなんと多いことでしょうか。去年世界遺産に登録され、地元はもちろん日本中の多くの人が喜んだ富岡製糸場なんかも当時の一般的な建て方で建てようとした場合の何倍、何十倍の費用をかけて特注の煉瓦を積むなどして建てられたものだと想像しますが、これは身近で分かりやすいほんの一例、文化とはそういうものです。

岡部耕大『精霊流し』2015/07/25 22:10

今日岡部さんのご招待で岡部さんの代表作『精霊流し』を観てきました。
1980年に初演された劇で、私が最初に観たのは1992、3年頃、その後もう一度観た記憶があり、たぶん今回が3度目だと思います。35年前の戯曲ということになりますが、人間に対する深い洞察と理解そして愛情を岡部さんは30代半ばで書いていたことに驚き、おばば役山下清美の熱演による岡部さんの愛情あふれる力強い台詞に今日改めて感動しました。


精霊流し